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第42話 狡いも卑怯も < Side ミケ

 恋愛に、狡いも卑怯もない。  早い者勝ちでもないし、努力すれば叶うというものでもない。  好きか嫌いかなんて、本人の気持ちでしかない。  タマが努力したからと、必ずしも礼鸞に好きになってもらえる保証なんてない。  だからと、知らぬふりはできなくて。  大好きなタマが傷つく姿を、見たくなかった。  礼鸞に傷つけられる分には、好きになってしまったタマの責任だから、仕方がないと割り切れた。  だけど、ぽっと出のシュンが時間をかけて築いたタマと礼鸞の関係を壊すのは、面白くなかった。  だけど。  外野の僕が口や手を出すのは、もっと違うと叱られた。  礼鸞が新しい人間を拾っても、むやみやたらに追い出そうとしないコト。  気になるのなら、まずは俺に聞きに来いと約束させられた。 「なんで、あいつらだったんだよ?」  ベッドに座って、前を寛げたポチの足の間で、僕の頭が揺らぐ。 「たまたま。タイミング良くここに来たのが、館野(たての)だっただけだよ」  ねろりと根本から先端まで、舌を這わせて奉仕する。  真っ黒な髪に、眼鏡の奥の冷めた瞳。  館野の組織の中の立ち位置は、高くない。  頑張っても、のし上がれない根っからの小者だ。  館野にしても、ポチにしても、恋愛対象は女性だ。  でも、気持ちのいいところを的確に刺激してやれば、セックス出来ない訳じゃない。 「あいつとヤったの?」  股間で揺れる僕の髪を指先で弄びながら、淡々と問うてくる声に、胸の底がじりじりといた不快感を抱く。 「お客様、だからね」  聞きたいんだろうな。  僕がどんな風に、(いじ)められたのか。  男なんて、みんな一緒だ。  同じ男である僕を(しいた)げ、見下し、悦に酔う。  マウンティングして、支配して、媚びる僕を嗤ってる。  そうやって、心を満たしていく。 「猫耳と尻尾つけられての獣セックス」  背後から伸し掛かられ、組み敷かれる僕を想像たのだろう。  ポチのそれが、どくりと呻き、こぷりと湧いたカウパーが竿を伝い垂れていく。  れろりとそれを舐め取り、ひくつく小さな穴を舌先で擽った。 「あのオモチャ細いけど、さすがに一緒に突っ込まれた時は、閉じなくなりそうで嫌だったなぁ」

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