74 / 160

第74話 妖艶さは増す一方で

 頭では、郭遥と三崎の関係性を懸念しているようだが、身体は、オレの雄としての本能を揺り起こそうとしているように見えた。 「郭遥の後ろ楯を考えれば、サキに何を握られようと、問題はないだろうけど。探りを入れておいた方が、いいかもね?」  脇腹からつつっと動いたタマの指先は、オレの胸許で、くるくると円を描く。 「ちぃちゃん、綺麗なヤツとか色気のあるコ、いっぱい囲ってるんだよねぇ」 「お前も……?」  そのコレクションのひとつなのかと、言葉にはせず問うオレに、タマのにんまりとした笑みが返ってくる。 「昔、何回かお小遣いを貰ったコトあるよ」  じわりと顔を歪めるオレに、タマは、あははっと楽しげな音を立てた。 「ステージには上がってないよ。一緒にお出掛けしただけ。僕の身体は、娼館の商品だったから、他所では売ってないよ」  オレの胸に顔を埋めたタマは、籠る音でふくくっと笑いを零す。 「なに笑ってんだよ」  楽しげなタマの姿に、どこか馬鹿にされている気がして、胸の上にある頭をぱしぱしと叩いた。 「妬いてる鸞ちゃんが、可愛くて?」  胸許から上がったタマの顔は、にやにやとした笑みを浮かべる。  可愛いなどと宣うタマの口の中に、黙れというように、指を突っ込んだ。 「減らねぇ口だな」  反射的に逃げるように上体を起こすタマの口を追い掛け、蠢く舌を摘まんでやる。  ぐにゅぐにゅと揉まれる感触に、もっとと強情るように、舌が指に懐き始める。  舌を捏ねる指先に、タマの瞳がとろりとした色を帯びた。  何気ない空気を淫靡なものに変えるのは、タマの専売特許だ。  30歳を越え、タマの妖艶さは増す一方で、その辺の男なら簡単に撃ち落としてしまうだろう。 「…………ん、ぁ」  溢れてくる唾液が、唇の端からつうっと滴った。 「浮気も、小遣い稼ぎも許さねぇからな。この身体は、オレのもんだ」  空いている手で、タマの尻をむにゅりと掴んでやる。  腹の上にあるタマの腰が、かくりと揺らいだ。  バキバキに硬くなったタマのペニスが、苦しげにカーゴパンツを押し上げる。 「舌捏ねられて、イキそうなってるお前の方が、よっぽど可愛いじゃねぇか」  舌と尻を可愛がりながら、放るように言葉を紡いだオレに、タマの身体がひくんと揺らぐ。 「ぁ、……ぁ、ぅ」  とろんと蕩けた瞳が、オレを見下ろす。  床に転がっていた身体を起こし、滴る唾液を舐め取り、指を突っ込んだまま唇を重ねた。  閉じられない口から零れたタマの熱い息遣いが、オレの喉を擽る。

ともだちにシェアしよう!