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第101話 自己満足の贖罪だとしても < Side タマ
建設業者の人間は、娼館で働いていた時からの付き合いだった。
表向きはクリーンな会社だが、金次第で少し叩けば埃が出るような仕事も請け負うような事務所だ。
その代わりと言ってはなんだか、自分に火の粉がかからないようにするためか、仕事上の守秘管理は完璧で、シュンからの依頼に打ってつけだった。
キャストは、すぐに紹介してやれなかった。
建設会社は昔馴染みの人間で、調査も選定も不要だったが、キャストとなれば話は違う。
娼館で働いていた頃の伝がないわけではないが、素性が定かではなかった。
スズシロが裏で経営する店ならば、下手な人間を薦めるわけにもいかない。
候補の炙り出しで、働き手になりそうな人間が出演しているメディアを集めるコトはできても、僕がスカウト業務に掛かりっきりになると無理が出る。
シュンや郭遥に、自力で目星をつけ交渉をしてもらう方が早いと判断した。
素材集め自体を断るコトも出来たが、憂さ晴らしに綺美ディアを潰してほしいというレディの願いを叶えるためにシュンの名を利用した自覚がある僕は、後ろめたさからこのくらいの手間ならばと、動いてやるコトにした。
潰した綺美メディアから没収していたマスターテープが、比留間の本家に置かれているコトを思い出す。
あの中から、キャストとして利用できそうな人間をピックアップするか……。
綺美メディアを潰してから4年の月日が経っているが、あまり売れていない若者であれば、まだまだイケるだろうと踏んだ。
若すぎる傍若無人な人間より、酸いも甘いも経験している玄人の方が使い勝手もいいだろう。
愁実のように、借金のために意にそぐわない仕事をさせられている者もいれば、中には自ら好んでこの世界に踏み込んできた者もいる。
快楽を求めてなのか、金のためなのか、その真意は定かではないにしろ、スズシロが運営する秘密倶楽部ならば、たぶん欲望は叶えてやれる。
キャスト側にとっても、悪い話ではないはずだ。
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