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第125話 不快でしかない笑い声

 マルが綺麗に舐め上げたペニスをしまい、身形を整えた。  はぁはぁと肩で息をするマルの前に、腰を落とす。  虚ろな瞳で放心しているマルの頭に手を伸ばした。  汗や体液で張りつく髪を寄せ、撫でてやろうとした手の中から、マルの頭がすっと逃げていく。  怯えるように竦まされる肩に、おどおどとした瞳が乗った顔が、俺を見やった。 「優しくされるコトに慣れてないんですよ」  白藤の声が、背後から飛んでくる。  振り返った俺の視界の端を、マルと同じくらいの男の子が、走り抜けていった。 「マル……?」  上半身を赤い麻縄で拘束され、股間を濡らした姿で座り込んでいるマルの元へと辿り着いた少年は、心配げにその姿を見やり、首を傾げた。 「平気。これ、解いてくれる?」  身体を捻り、解いてくれと頼むマルに、少年は軽く息を吐き、麻縄に手を掛けた。  すぐ傍に居るのに、まるで俺など存在しないかような空気感だ。  2人だけの世界が展開される空間に、俺は腰を上げた。 「そのコはペケ。マルの弟です」  ペケに視線を据え、声を放つ白藤に瞳を向けた。 「万が一、マルが負けたら、ペケに客を取ってもらう約束になってるんですよ」  くっと寄る眉間の皺に、白藤は困ったような笑みを浮かべる。 「負けた時のペナルティは必要でしょ。褒美だけでは、温すぎる。自分の為だけならば、人は手を抜き始めますから……」  賭けられているものが、自分じゃない。  だから、マルは必死になるのだと宣う白藤に、俺は嫌悪を隠しきれなかった。  気分悪げに顔を歪めている俺の全身に、するりと視線を走らせた白藤は、にんまりと笑み、口を開いた。 「気に入っていただけたようなら、お貸ししましょうか?」  多少の乱れがある着衣に、俺がマルになにをさせていたのかを察した白藤は、くつくつの喉の奥で笑う。  不快でしかない笑い声を立てながら、白藤は言葉を繋いだ。 「あのコが居ないと成り立ちませんからお譲りは出来ませんが、…貸すぐらいなら、構いませんよ。ここに会いに来ていただけるのなら、ですけど」

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