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第4話 俺んちで俺が照れる

今日は補講の後にヨコジマが俺の部屋に来て課題を手伝ってくれるという。 英語の和訳の課題は5ページある。 右手が使えない俺の代わりにパソコンで打ってやる、と言ってくれたのだ。 俺んちでエアコンがあるのは食堂と居間だけ。 でも俺のパソコンはデスクトップ型で部屋から動かせないから、くそあちい部屋にカルピス持って上がってもらった。 入ったとたんヨコジマが声を上げて驚いた。 「すげー!モニターが3つもある!どれ見てやるの?」 「入力だったら正面のだけでいいんじゃね?」 「マウスもいっぱいある!これ、ゲーム用のコントローラ?」 「そ、オンラインゲームしてんの」 「ゲーマーなんやー」 ゲームオタクとか言わないのがこいつのいいところだと思う、言われても気にしないけど。 課題の和訳は、2時間くらいかけてやっと1ページ終わった。正直半分くらいヨコジマがしたようなものだ。俺が間違った訳を言うと、指摘して直してくれる。 なんなの、このいい人。 5分休憩、とか言ってたけどあっという間に気が散って、おしゃべりが止まらない。 「キサキさー、ゲームとかプログラミングが好きなら、やっぱそっちの方に進むの?」 「うーん、そりゃそうしたいけど、まだ大学行こうか専門行こうかも決まっとらんし、よく分かんねーや。ヨコジマは?」 「うーん、俺は建築関係に行きたいんだけど。近くで、国公立で、って考えるとハードル高いな」 気づくと、ヨコジマは鼻の頭やらおでこに汗をかいていた。 「暑いよな。エアコン、下にしかないから下行こう」 「お、エアコンいいね」 「俺着替えるからちょっと待って」 いつもの調子で部屋の隅のちっさいクローゼットを開けてパパッと脱いで、シャツを羽織って、ハーフパンツを履いて振り向いたらヨコジマと目が合った。 「どした?」 「キサキ華奢だなー。そんなゆるめのシャツにハーパンだと、ボーイッシュな女の子に見えるな。それでこのあいだみたいに告白されたらマジで簡単に落ちそう」 と言って笑いながら大きな手で俺の頭をわしゃわしゃ撫でた。 ”簡単に落ちそう”、の主語がないから客観的意見なのだろう、うん、そうだろう。 まぁ、昔から女子にちょくちょくそんな事を言われていたな、と思い出す。 髪もツヤサラストレートだし、毛深くないし、インドア派だから肌も白いし。 ヨコジマも、別にそんなつもり(どんなつもりだ?)じゃないと思う…けど、なんだかこっちが恥ずかしくなった。

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