もう夏休みも中盤に差し掛かってるけど、俺たちは頻繁に会っていた。 勉強したり、話したり、特に何もせずにダラダラした時間を過ごしていた。 おかげで小遣いがどんどん減っいってやばい！ 今日はコンビニでパピコを買って二人で分ける。 いろいろ浮気はするけど、落ち着くのは定番のチョコ・コーヒーだな。 正直半分じゃちょっと物足りないけど、同じものを分かち合う喜びもあるという事にしておく。 パピコを咥えたままぼーっとモミモミしていたら視線を感じた。 隣を見ると、ヨコジマがこっちを見てちょっと赤くなって言った。 「パピコって、ビミョーにエロいよな」 言いたいことは分かるぞ、俺も考えた事ある。 「うん、名前も女みたいだしな。グリ子とパピ子、フェラ姉妹」 ごめん、でもパピコ愛してるぜ。 夏だし、俺たち二人とも健全に育った青少年だし、頭の中はすぐそんな事でいっぱいになる。 でも、ヨコジマは男で、ヨコジマに好きと言われた俺も男だ。 真夏のパピ子よ聞いてくれ、キスの後男同士はどうすればいいのだ？ ちゅーっと勢いよく吸い上げるとどんどん味のうすくなるパピ子なら、キスで寸止めされたまま行き場を失った俺の衝動を分かってくれたりするのだろうか？ なんて考えてると、前を向いたまま突然ヨコジマが言った。 「海行きたいなー、海」 隣を見ると、夏の強い光でヨコジマのおでこと鼻の輪郭が光って綺麗だ。 うっかり見つめてしまっていたことがばれないように急いで返事をする。 「行きたいねー、行っちゃう？」 「いつ？」 今はまだ昼前だ。 「今からはどう？急げば晩飯に間に合うように帰れるし」 連日の暑さでちょっとバカになってた俺たちは、それぞれの家にダッシュで海パンを取りに帰り、親に頼み込んで電車賃とご飯代を貰って電車に飛び乗った。 2時間半かけてやって来た夏休みのビーチは、当たり前だが混んでいた。 でかいシートも椅子もパラソルも持ってきてない俺たちは、楽しそうな奴らの間を所在なく抜けながら空いている場所を探した。 かなり端の方に、2人で寝転べるくらいのスペースを見つけそこでようやく落ち着いた。 「ほい」 来る途中のコンビニで買ったからあげくんの袋を、左手でヨコジマの方に突き出す。 食べてもいーよ、ってつもりだったのに、爪楊枝で刺したからあげは、俺の口元に戻ってきた。 おおおぅ、公衆の面前で何してくれるの、このいい人は。 条件反射でぱくっと食べちゃったけどさ。