16 / 22

第五章 3 *R18

「詩雨さーん。寝ちゃ駄目ですよ」  遙人が一旦ドライヤーを止めてオレを呼んだ。どうやらオレは遙人の胸に身体を預け、うとうとしていたらしい。  黒のタンクトップ越しにほどよく鍛えられた筋肉を感じる。 「あ、うん──ていうか、もういいだろ。それ」  ふたりしてヨクなってしまった後、泡もろとも、吐きだした欲望も綺麗に洗い流した。  浴室を出てすぐに寝てしまいたい程ぐったりしていたオレを、遙人は胡座をかいた自分の前に座らせ、ドライヤーを当て始めた。  こんなの自然乾燥でいいのに、髪を洗った後には決まってそうする。 「だめですよ。詩雨さんはほんと自分のことに頓着がないんだから。これからは毎日俺が乾かしてあげられますね」  そう蕩けそうに言われ、小っ恥ずかしい気持ちなり、 「忙しいくせに。毎日なんて絶対ムリだね」  つんけん言い返してしまった。  でも、本当は。  こうやって髪を乾かして貰えるのは好きだ。大きな手で優しく()いて貰って……。だから余計に眠くなっちゃうんだけど。 「はい。終わりましたよ」  ドライヤーを横に置き、後ろからオレの顔を覗き込んだ。 「ありがと。じゃあ、そろそろ寝ようかー」  立ち上がろうとするオレの肩は、遙人の両手で押さえつけられた。 「え? なに?」  ちゅっ。  項に音を立ててキスをされた。何だか異様に嫌な予感がする。  固まったままそう考えていると、また続けて、ちゅっちゅっと音がして、更にちゅうっと強く吸いつかれた。 「ハ……ル?」  軽く身体が騒めく。恐る恐る振り返ると、欲を帯びた瞳とぶつかった。 「ね……るよね?」 「何言ってるんです? 同居、いや同棲初日ですよ。初夜ですよ?」 「同棲言うなー。それに、初夜って。今更、なにっ」  もうここ数年の間に部屋を何度も行き来して、何度もをしている。 (今更初夜とかないわーっ)  でも同居を思った以上に喜んでくれているのかと思うと、ぽっと心が温かくなる。  が、それとこれとは話は別だ。 「オレ……眠いんだけど」  口を尖らせて言ってみたが、全く遙人の耳に届いてはいなさそうだ。いや、届いてはいるのかも知れないが、完全にスルー。  項への攻めは止まず、啄むようにキスをして、強く吸いつき、べろべろ舐めまわす。項が弱いオレはそれだけで悶えてしまう。 「ん……ぁ」  オレの反応を見て、耳朶に甘噛みしながら甘い声を注ぎ込む。オレの好きな声……。 「約束……したよね。今日シテいいって」 「し……た……したけどぉ」  あれはその場を収める為の方便だった……。 「約束、守ってくださいよ。一晩中、俺に抱かれて?」 「え……」  片手がするりとルームウェアの裾から入り込み直に肌に触れる。大きくて温かな掌の感触が気持ちいい。  ゆるりと腹を撫で上へと這い昇ってくる。指の先で乳首を摘ままれる。 「もう、気持ち良くなっちゃった? ここ、固くなってる」 「んっ」  まだ項しか愛されていないというのに、もう既に身体は期待しているかのように反応を示している。それを口にされるのがまた恥ずかしくて、余計感じてしまう。  空いている方の手も後ろから伸びてきて、ルームウェアのパンツの(なか)に忍び込む。その大きな手はオレの昂りを探りあて、直に触れてくる。  さっき吐き出したばかりだというのに、オレのそれはもう勃ちあがり始めていた。  そして、腰の辺りに感じる熱い塊。遙人の……。  オレは抗うのをやめ、彼の愛撫を素直に受け入れることにした。  まだ疲れや恥ずかしさもあるが、愛されたい触れられたいという気持ちもちゃんとある。  オレを望んでくれる遙人が愛おしくて、その気持ちはすぐに溢れかえって溺れてしまいそうになる。

ともだちにシェアしよう!