4 / 44

第4話

「俺含めて、ここには5人のメンバーがいた。  個性が強くてな。1人目はおねぇの美人。  2人目は無駄に元気。3人目は常に寝ていて、  4人目はまったく話さない」  これ。悩み相談なのでは。薫は思った。 「愚痴ではありません。昔話では」 「煩せぇよ」  薫が淹れた、まだ少し残っていたミントティーを団長が飲みほした。眉間に皺を寄せる。スースーするのが苦手なのだろうか。少し可愛いような気がする。 「もしかして、ミント苦手ですか?」 「そんなわけねぇだろ。黙って聞け」 「すみません」 「俺が追い出した。全員を巻き込みたくなくて、酷い言葉を言った奴もいる。脅した奴もいる。この国がここまで駄目になったのは俺のせいだ」 「駄目とは」 「獣国は今や鎖国状態。国を魔法でバリアを貼り、隠している。俺は他国と交流し、異文化を取り入れるべきだと思った。俺は負けた。今は名ばかりの騎士団長だ」  彼の話は色々抜けていてよく分からない。わたしはこの国のことをまったく知らないのだから。 「負けたと言いましたが、何対何で勝負したのですか?」 「何対何?」 「いや、あのつまり。相手が何人いて、団長さんの仲間は何人いたのか疑問に思いました」 「向こうは何人いたかなんて知らねぇ。  俺は1人だった。言っただろ巻き込みたくなくて、酷い言葉を言った奴。脅した奴もいるって」  なんの戦いだったのかは知らないけれど、薫は分かった事がある。 「貴方は馬鹿ですか」 「てめぇも俺を侮辱するのか。  まぁ良い。話は終わりだ。これやるから、とっとと出て行け」  何処から出したのか、黒いポンチョを薫の顔面に投げつけられた。急に体が浮き上がり、外に放り出されていた。 「また、わたしは言葉の順番を間違えてしまいました。ただ1人では無理でしょうと言いたかっただけなのに、他にも。追い出されたら仕方ありません。戸籍をどうにか確保しましょう。はっくしゅん」  外はかなり冷えていて、雪が降り始めていた。本格的につもる前になんとかしなければ。薫は前方に明かりが見えたので、灯りの見える場所に歩き始めた。

ともだちにシェアしよう!