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第11話
「どうぞ」
ジキルに淹れたものと同じミントティーを淹れて、ジキルと話していた寮の玄関入って右手にある部屋で今度はジェリーと話す事になった。
「ありがとう。頂くわ」
「ジキルさんと何があったのですか?」
わたしに、聞く資格はない。悩み相談なんて仲裁なんて、全てが初めて。店長が見たら、おまえが悩み相談。なんの冗談だと言われそうだ。
「オレさ。姉妹がいて、オレが長男。貴族よ。
分かると思うけど、団長と同じ彪属よ。
女だらけの家系に育ったから、化粧したり可愛いものが好きで。恋愛な意味で好きになるのは、男性。女性は友達以上にはどうしても見れないの。15歳になったら、全員強制的に学校に通う。
そこで団長と他の仲間に出会った。他の仲間の話はまた後でするわね」
入学した当初。父のしごきとも言える言葉遣いの矯正とマナー講座。笑顔の練習で、学校ではジェリーはかなりモテた。
「ある日。聞いたのよ。家柄、容姿以外は面白くもないし、つまらない男。生活は保証されるから婚約者になれたら最良。ジェリーくんは
言葉を聞いて以来、人間不信になったジェリーはますます作り笑顔を貼り付けるようになった。剣の指導で団長に出会った。今まで誰にも負けたことがなかったのに、初めてジェリーは負けた。言われた言葉が、将来をまったく考えていなかったジェリーが騎士団に入隊するきっかけになった。
「てめぇ、中々強いが作り笑いし過ぎだ。気持ち悪りぃ。話し方もわざとだろ。ありのままでいいじゃねぇか。見せて受け入れてくれた奴らと仲良くすれば、人形か。違うだろ。お前はお前だ。団長の言葉があったから、ジキルの隊に志願した。
今のジキルは変わった人の意見なんて聞くより、やろうぜって言う人だったのよ。助けた人を他人に押し付けるような責任感のない奴じゃない。何も話さないあいつに腹が立つ。オレは何を聞かされても変わらず親友で味方でいてやるのに」
口調や優雅な仕草とは裏腹にジェリー。男らしいな。薫は嫌いじゃなかった。さっきから扉の向こうからする気配。薫は人差し指を唇に当て、ジェリーに少しだけ口を閉じてもらう。扉を開けて言った。
「だそうですよ。ジキル。大人の喧嘩面倒くさい。 今度こそ仲直りしてください」
急に薫が扉を開けたからよろけるような、ジキルが部屋に入った。
「てめぇ。そんなこと思ってたのか」
「悪いか馬鹿。オレは当主を蹴って騎士団に入った覚悟は出来ているのよ」
「2人とも話し合ってください。料理しますからリクエストはありますか」
薫の質問に2人は驚くほど息ぴったりに。
「「暖かいものならなんでもいい」
「分かりました」
2人っきりにさせよう。今度こそジェリーが怒って出て行く事はないだろう。薫は思った。
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