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第12話

「すまなかった」 ジキルが謝罪した。ジェリーはジキルに謝罪されたかったわけじゃない。訳を話して欲しかった。それ以上は望んではいない。 「謝罪は受け入れるわ。  何があったのよ。教えて」 「国を見たら分かるだろ」 「最悪な若い王様が就任して鎖国した。  そのせいで食料不足。衣服もままならない。  あとはそうね。王族は話の通じない頭がおかしい。まだ言った方が良いかしら」 「いい。今の若い王様に兄がいた事を知っているか」 「知らないわよ。最悪な王族を誰が知りたいと、まさかあんたが冗談言わないわね。遠ざけて負けたの」 「お前らを巻き込みたくなかった」 「オレ達は巻き込んで欲しかったわ。  ギルーだって、リーブもジェスも。あんたに失望した。出て行ったのよ。ふざけないでよ。  言葉が足りないのよ。いつもいつも。  不器用で、男らしい人なのは知っているわ。  話しなさいよ。馬鹿。馬鹿」 「今更、遅いって言われるか」 「知らないわよ。あたしは戻るはここに」 「ありがとうジェリー」 「あの子。カオルに謝りなさいよ。  悪気があって馬鹿って言ったわけじゃないのよ。悪い子じゃないわ」 「知っている。カオル。人の世話が好きなようには見えねぇんだ」 「オレも見える。カオル。あの子が好きなことはなんなのかしら」 2人の視線が厨房に向けられた。タイミングで、嗅いだことのない匂い。2人のお腹が同時に鳴った。厨房に2人とも足が向いていた。

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