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第14話

 鍋を煮込んでいたら、薫の両肩に手が置かれた。右がジキル。左が、ジェリーだった。 「ポンチョ。ここなら脱いでも良いぞ」 「着ているのに慣れてしまったので、問題はありません。ジキル。仲直りしましたか?」 「ああ。ありがとう。カオル」 「頑固者だって知っているから、オレは許す。  騎士に復帰するわ。カオルはあの店で働くのかしら?」 「はい。そのつもりです。ジェリーがここに戻ってくるなら、わたしはジェリーの使っていた部屋に住みます」 薫が言ったら2人から同時に駄目だと言われた。ここに住むように。どうしてだろう彼らと住む必要はないはす。何度言っても駄目だの一点張りで、薫が折れた。 「分かりました。ここに住みます」 「当たり前だ。何処にも行かせるかよ」 「そうよ。団長と2人きりなんて流石に耐えられないわ」 「わがままな大人達です。鍋。運んでくれますか。ジキル。ジェリーは、お皿を。わたしはデザートを運びますから」 2人が了承して、それぞれ言われたものを持ち出て行く。誰かと食事を共にするのは本当に久しぶりだ。何年振りかもう思い出せない。でも、薫は嫌ではなかった。戸惑いの気持ちはあるけれど嬉しい気持ちの方が大きかった。薫はデザートを持ち、2人を追いかけた。

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