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第24話

薫の雰囲気が変わった。リーブはすぐに分かった。辞めたとはいえ元騎士。他人の気配には敏感である。怒らせる事を言っただろうか。他の人も助けてあげたらどうか。提案しただけ。本音は己の罪が少しは軽くなるのではないか。そんな気持ちもリーブは持っていた。捕まっている人の中には、リーブのせいで捕まった人もいる。 「この期に及んで貴方は、また逃げようとしている。呆れますね」 「逃げ、逃げてなんて」 「話し方もわざとですか。同情を受けるために」 「ちが、違う」 「そうですか。この中に貴方が捕まえた人がいるのではないですか?」 「なんで」 「はぁ。貴方。普通に分かりますよ。  出したから貴方の罪が許されることはない。  たとえ殺されても文句は言えない。  貴方が出せというなら、出しますよ。  どうしますか?」  恨まれている。確かにカオルの言葉は正しい。全部。仕方ないじゃないか。やらなければ殺されていた。 「出さなくていい。だけどやらなければ、殺されてたから、しょうがないじゃないか」 「そうですね。わたしを助けようとした。貴方なら、本気を出せば抗えたのでは、そう思っただけですよ。貴方が仕方ない。仕方ないのでしょう。 行きましょう。時間がもったいな、くしゅん。失礼しました。わたしが彼らを助けないのは、足手纏いが増えるよりも、助けを呼び安全に助けるべきではないか。理由はそれだけです」 「そ、か。わかった」 リーブはカオルの言葉で、自分の命を心配し重要な事を話さなかった。ここで生まれたということを。

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