24 / 44
第24話
薫の雰囲気が変わった。リーブはすぐに分かった。辞めたとはいえ元騎士。他人の気配には敏感である。怒らせる事を言っただろうか。他の人も助けてあげたらどうか。提案しただけ。本音は己の罪が少しは軽くなるのではないか。そんな気持ちもリーブは持っていた。捕まっている人の中には、リーブのせいで捕まった人もいる。
「この期に及んで貴方は、また逃げようとしている。呆れますね」
「逃げ、逃げてなんて」
「話し方もわざとですか。同情を受けるために」
「ちが、違う」
「そうですか。この中に貴方が捕まえた人がいるのではないですか?」
「なんで」
「はぁ。貴方。普通に分かりますよ。
出したから貴方の罪が許されることはない。
たとえ殺されても文句は言えない。
貴方が出せというなら、出しますよ。
どうしますか?」
恨まれている。確かにカオルの言葉は正しい。全部。仕方ないじゃないか。やらなければ殺されていた。
「出さなくていい。だけどやらなければ、殺されてたから、しょうがないじゃないか」
「そうですね。わたしを助けようとした。貴方なら、本気を出せば抗えたのでは、そう思っただけですよ。貴方が仕方ない。仕方ないのでしょう。
行きましょう。時間がもったいな、くしゅん。失礼しました。わたしが彼らを助けないのは、足手纏いが増えるよりも、助けを呼び安全に助けるべきではないか。理由はそれだけです」
「そ、か。わかった」
リーブはカオルの言葉で、自分の命を心配し重要な事を話さなかった。ここで生まれたということを。
ともだちにシェアしよう!