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第25話
「ピオス神殿は、もとは罪人が刑に服する場所だった。だが、言いたくないからこれ読むにゃ」
赤い背表紙の本には、口にするのも悍ましい。記録だった。誰が書いたのかツッコミを入れたくなるような壮絶な本だ。
「おい、スノー。誰が書いた。これ」
「古書店から買ったにゃ。今度紹介してやろうか」
「オレ。興味あるわ。今度教えてくれるかしら。
名前を言ってなかったわね。ジェリーよ」
「よろしく。美人さん。ジェリー。呼び捨てでいい人?スノーで呼び捨てで。よろしく」
「いいわよ。スノー。団長といつから知り合いなの。教えてくれるかしら」
「あれは確か「言わなくていい。言うんじゃねぇ。変な事に興味持つな。スノー入り方を教えろ」
難攻不落なんて言われているぐらいだ。入るのも相当難しいはずだ。ぐだぐだ話している時間がジキルには勿体なかった。
「入るのは簡単にゃ。入り口から入ってタイル3マス目でジャンプ。下に落ちる。入れても出会える確証はないから辞めた方が良いにゃ」
「落ちて上に上がって行けば、そのうち会えるだろうが」
「単純じゃないにゃ。部屋が意思を持って動く。
古書堂店主に聞いた話。まだ、神殿が罪を犯したものが刑に服するための場所だったころ」
1人の若い男が罪を犯し収監され脱獄を企てた時の話だ。
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