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第27話

「これは、無駄な足掻きですね。  時間を無駄にしました」 薫とリーブは階段を上がった。確かに上がった。上がったような感覚がしない。気付いたのは10階階段を上がってからだ。 「どっ、とうゆう」 「看守は来ないようなので、少し離れてください。1人にしていただけますか?」 「どうして」 「お手洗い。トイレはなさそうですから、その辺でするしかないでしょう。見たいですか?」 「みっ見たくはない。分かった」 リーブが薫が何をしているか分からないぐらい離れたのを確認してリュックを下ろした。先ほどからリュックの中からリーブには聞こえていないようだが、声が聞こえていた。声の正体は本の中から聞こえていた。薫は本を開いた。 「なんですか」 「なんですかじゃない。一向に開かないって。  待ってたんだけど。分かってる」 「分かってはいますけど、取り込み中ですので、また今度にしてください。煩いです。静かにしてください」 「取り込み中。聞いてもらはないと。ここから精霊の気配がするから話しかけたの。堕ちた精霊。  カオルがなんとかしないといけない」 精霊。ファンタジーに出てくるよく分からない生物がいるとして、わたしがなんとかする。意味が分からない。わたしが。関係ないのに。 「わたし。関係ありません」 「ある。ここから出るため。あの偉大なお父さんの息子だから」 「最低野郎がなんですか。わたしのではない父でしたら良いですが、わたしのなら2度と口にしないでください。貴方でも本ごと燃やします。シロ」 「恨んでいるだろう。言っていたよ。だけどそれは「他人から弁明を聞くつもりはありません」そうだよねぇ。分かった。ここから出るには精霊を探すしかない。理解してくれる」 ここから出る。言われたら薫も納得するしかない。頷いた。 「ありがとう。鍵はリーブ。あの子だよ。まだ何か隠している。彼の隠し事が精霊を探す鍵になる。ボクが言えるのはそれだけ。また、話せる時に、ここから出たら開いてよ」 シロが消えたので、薫も本を閉じる。リーブの隠し事。精霊。父親。早くここから出たい。具合が悪かったが、さらに体が重くなったように薫はかんじた。

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