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第28話
薫はリュックを背負い、リーブの側に向かった。話を切り出すきっかけは、まったく分からない。ストレートに薫は聞いた。
「何か隠してますか」
「かっ隠すなんて。隠してない。ないです」
言い淀んで目を逸らしている時点で嘘をついている。誰でも見破れる。嘘をつくななんて言わない。どんな嘘をつくか。それが何よりも大切なこと。薫は知っている。
「嘘はどんな嘘をついたか。1番重要なんです。わたしの父は、母に言いました。愛している。結婚してわたしが生まれました。真っ赤な大嘘で。父には母以外にも複数の女性と関係を持っていました。目的は子ども。わたしが出来たことが結婚の決めて。母は壊れました。事実を知り、わたしを連れて父から逃げ、わたしを虐待することで自分を保っていた。悪いとは思いません。あっさり言っていますが、父と母以外の女性との関係は語れるほど短くはありませんから」
「お母さんは」
「死にました。最後は完全に壊れていましたから、自ら窓から飛び降りて、飛び降りる直前に母はわたしに言った。表情があの人そっくりね。さようなら。わたしは表情が出せなくなりました。嘘が母の人生を狂わせて、わたしはトラウマを抱えた。貴方もわたしのようになる前に、話したらどうでしょうか」
限界。休みたい。話すことに薫は疲れていた。体の不調のせいなのか、内容をまだ自身が消化しきれてない。両方だろう。
「ここで。生まれた。ボクは」
口を開いたリーブが話し出したのは、自分の出生についてだった。
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