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第31話

体が痛い。誰かにおんぶされてる。誰か。1人しかいないか。薫は目を覚ました。 「すみません。お別れ出来ましたか」 「あっ、ありがとう。逃げるはやめます」 「そうですか。お別れは済んだようですね。  もう、大丈夫。おろしてください」 体調最悪だった。このままは薫が嫌だった。甘えた姿は見せたくない。 「駄目だったら言って」 リーブはすぐに薫をおろしてくれた。最初に会った頃より、リーブの顔色も目にも光が宿っている。 「ありがとうございます。今どのような状況ですか」 「カオルが倒れた後、急に階段が現れた。階段を登ってみた。あっあれ」 看板には無念の魂の復讐を。 「なんでしょうか。これ「まさかここに来る囚人がいるなんて。驚いた驚いた」 誰。いきなり現れたこの男。薫は人間ではない感じがしていた。 「リーブの知り合いですか?」 「みっ見たことない」 「すいません。すいません。怖いですか。  怖いですよね。アナタ方。興味ない。無表情君は興味ある。我々と同じ雰囲気、力。感じる」 「薫です。ここからどうすれば出られますか?」 「さぁ。でも知らなくはないネ。  そうネ。面白い話を聞きたいね。  腹から笑えるような面白い話がいいネ」 無理難題過ぎて薫には見当もつかない。腹から笑える面白い話。面白い話なんて、人のツボは1人1人違う。リーブに期待しようと薫は思った。

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