32 / 44
第32話
「団長。落ち着きなさいよ」
ジェリーとスノーが、ものすごい速さで走るジキルを追いかけていた。
「煩せぇ。方法がねぇなら行ってから考えるしかないだろ」
さらにジキルの走る速度が速くなった。2人は追い付くのがやっとだった。
「早いにゃ。むっ無理にゃ。分かったにゃ。
協力してやるから少し待って」
スノーの言葉にようやくジキルがスピードを緩めて止まった。
「何が出来る。俺にはヘルゲートを開く以外は出来ない」
「ヘル。なんにゃ。眠らせたり、一時的な時間停止なら出来るにゃ。神殿に入るにゃ。あとは、運次第にゃ」
「オレは植物全般を操る力しかないわよ」
スノーとジェリーの言葉に、ジキルが難しい顔をて考え始めた。ジェリーは知っている。この顔をしたジキルは今高速で頭の中で作戦を練っている時。
「鍵は見つかった。実行する私に協力してください」
ジキルの雰囲気がガラリと変わる。ジキルはヘルゲート以外の力がある。魔力を思考にのみ使う事が出来る。普段のガサツな感じから、知的な雰囲気に変わる。
「良いわよ。団長」
「どうなって、面白いから良いにゃ。
もっと楽しませてくれよ」
ジェリーとスノーが同時に頷く。満足そうな顔をしたジキルが2人を側に呼んだ。ジェリーの耳元で作戦を話し、スノーの耳元で囁いた。話を聞いた2人は驚愕の表情を浮かべ、ジキルだけは自信満々な表情を崩さなかった。
ともだちにシェアしよう!