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第32話

「団長。落ち着きなさいよ」 ジェリーとスノーが、ものすごい速さで走るジキルを追いかけていた。 「煩せぇ。方法がねぇなら行ってから考えるしかないだろ」 さらにジキルの走る速度が速くなった。2人は追い付くのがやっとだった。 「早いにゃ。むっ無理にゃ。分かったにゃ。  協力してやるから少し待って」 スノーの言葉にようやくジキルがスピードを緩めて止まった。 「何が出来る。俺にはヘルゲートを開く以外は出来ない」 「ヘル。なんにゃ。眠らせたり、一時的な時間停止なら出来るにゃ。神殿に入るにゃ。あとは、運次第にゃ」 「オレは植物全般を操る力しかないわよ」 スノーとジェリーの言葉に、ジキルが難しい顔をて考え始めた。ジェリーは知っている。この顔をしたジキルは今高速で頭の中で作戦を練っている時。 「鍵は見つかった。実行する私に協力してください」 ジキルの雰囲気がガラリと変わる。ジキルはヘルゲート以外の力がある。魔力を思考にのみ使う事が出来る。普段のガサツな感じから、知的な雰囲気に変わる。 「良いわよ。団長」 「どうなって、面白いから良いにゃ。  もっと楽しませてくれよ」 ジェリーとスノーが同時に頷く。満足そうな顔をしたジキルが2人を側に呼んだ。ジェリーの耳元で作戦を話し、スノーの耳元で囁いた。話を聞いた2人は驚愕の表情を浮かべ、ジキルだけは自信満々な表情を崩さなかった。

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