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第33話
ジキルの指示の元、洋服店に来ていた。時間はないものの作戦には必要な作業だ。
「本当にやるにゃ」
「必要なことです。無駄は何ひとつありません。
今話している時間が無駄。貴様も着替えてくることが、私の役に立ちます」
(なんなんにゃ。こいつ)
ジキルのギャップに気持ち悪さと、わくわくしている矛盾の感情をスノーは抱いていた。
「気持ち悪りぃか」
「ジキル」
「同じ1人の人間だ。昔、家族と呼べた人がいた時、私が生まれた。守りたい。その気持ちから生まれた。本心では私はジキルを守ることが出来ればそれでいい」
スノーは聞いたことがあった。心に傷を負ったものは、感情を緩和するために別人格を作ることがある。それは迷信だと思っていた。
「遅いな」
「遅いって何よ。オレだってカオルのためじゃなければやらないわよ」
女物の神官服を着たジェリーがいた。白い神官服がジェリーの桜色の髪に良く似合っている。
「よく似合っているにゃ「あとは髪の毛。髪をセット出来る人はいるか?」
「はっはい。かしこまりました」
「そこまでやるのかしら」
「念には念をだ。徹底的にお願いします」
「はい」
ジキルは早くしろというように、右足だけ靴を脱いでからジェリーの背中を蹴り飛ばした。
「わざわざ靴を脱いで蹴らなくてもいいじゃない。野蛮なのよね」
「煩い。さっさと支度してこい」
ジキルが考えた作戦のための準備。ジェリーを聖女にすること。国では聖女を疑うことはしない。神殿に入りやすくなる。聖女は絶世の美女常識。ジェリーには美女になってもらう。無事でいてくれジキルは願っていた。
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