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第39話
彼が右手振る。彼以外全ての幽霊が消えた。
「すわろ」
2人で並んで座る。ぼくは話すことはない。彼に話すつもりがない。
「ワタシ。シルベスト。しょだい。しんかん。あらそった」
シルベストさんは女好きの神官。名をフェゼリアと神官長の座を争った。シルベストには争うつもりはなく、ただ神官の仕事がしたかった。子どもを助け人々を助けていた父に憧れて神官になった。家族は同じ神殿では働けない。憧れの神官。胸がいっぱいだった。
「憧れか。わたしには分かりません。
分かり、分かりたくもありません」
「それも。いいよ。ワタシはあこがれだった。
ワタシはじたいした。しんかんちょう」
フェゼリアの女好きを知っていた多くの、この神殿で働いていた神官がシルベストさんを推した。シルベストが辞退した事で、本人の意思を尊重する。方針の神殿。シルベストさんが辞退した事で、フェゼリアに決まってしまった。
「ワタシは。あのひほど。こうかいしたことはない。ワタシをしじした。ろうや入れられた」
シルベストさんの友人も例外なく全員。みんな体を汚され、牢屋で死んだ。後悔からシルベストさんは成仏出来なかった。さっきいた人も全員。
「ワタシはうらみをすべてせおう」
シルベストさんの最後の言葉が薫には衝撃だった。魂ごと消える。彼は言った。
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