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ー友情ー23

 体の中からゾクっとするような爆発音。 この辺り一帯を轟かすような爆発音、そしてガラスが割れる音と共に悲鳴のような声も聞こえてくる。 「……爆発!? って、俺も行かないとっ!」  望も今の爆発音を聞いて急いで現場へと向かうのだ。  爆発事故なら少なくとも怪我人はいる。  そう思った望は医者という仕事をしているからなのか、頭より先に体の方が先に動いていたようだ。 足は勝手に爆発音がした方へと向かっていたのだから。  息を切らしてまで望が現場に駆け付けた頃には、先に消防車で現場に来ていた雄介たち消防隊がもう既に消火活動を始めていた。  現場は街外れにある地上四階建ての小さなビル。  どうやらそのビルの四階部分で爆発があったようで、地面にはガラス片が散らばっていた。 周辺を見渡してみると、今の事故で難を逃れた人たちが道を挟んだ反対側の歩道にいる姿が見え、望はすかさず怪我人の救護に当たるのだ。  そして次から次へと応急処置を行い、待機している救急車の方に搬送要請をし、怪我人を病院の方へと送っていた。  望がこう怪我人の救護にあたっていると、遠くの方から懐かしい声が聞こえてくる。 懐かしいというのか久しぶりに聞く声だ。  その人物も怪我人の救護にあたっているのか、 「お怪我の方は大丈夫ですか? 痛む所はありませんか?」  と聞いていた。 「あ、この声は……まさか!?」  望はその言葉と同時に顔を上げると、そこにはちょっと前までコンビを組んでいた和也の姿があった。  喧嘩をしたとはいえ、ちょっと前まで一緒に仕事をしていたのだから、望だって少しばかり気にしていたところだ。  久しぶりに聞く声に気になるところなのだけど、そう考えてみるものの、怪我人の手当ての方が先だと思ったのか、下を向いて怪我人を手当てしていく望。 「望!」  そして望は急に誰かに声を掛けられるのだ。  望からしてみたら声だけで、いや、寧ろ望の名前を呼ぶ人間というのは望の周りではきっと和也しかいないのを分かっていたからなのか、いつものように返事をしてしまっていた。 「あ、ああ、なんだよ」 「あのさ、俺に指示出してくれないか? 確かに俺だって応急処置ぐらいはできるけど、それ以上の事は医者のお前じゃないとできない事だろ?」 「あ、ああ、分かった」  望はその和也の言葉に返事をするのだ。  そうだ、確かに今のこの状況では自分たちが喧嘩をしていた事なんて関係はない。 だからなのか、和也と一緒になって目の前にいる患者さんを助ける方が上だろうと思った望は次から次へと和也に指示を出していく。

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