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ー記憶ー2
雄介が退院して、まだ若葉が生え始めた五月。
今、この季節は暑くもなく寒くもなく、丁度いい気温でエアコンさえもいらないくらいだ。
望や和也が利用している部屋でもエアコンを付けずに、窓を全開にして外から入ってくる心地よい緑の風を受けながら、二人は仕事をしていた。
すると、望が着ている白衣の内ポケットに入れておいた携帯が震え出す。
望はそれに気付くと携帯を取り出すのだ。
今は病院の自分たちの部屋で仕事をしているので、プライベート用の携帯を白衣のポケットに入れておいたようだ。
それは久しぶりに恋人からのメールだった。
望の恋人は消防士。
前にも望が働く病院に何度も入退院を繰り返し、その相手は望に一目惚れをしたらしく、望に告白をしてきた男だ。 そして望はその告白を受け入れた。 だから今は晴れて恋人になった相手だ。
望は久しぶりの恋人からのメールに胸を高鳴らせ、そのメールの文章を読み始める。
確かに二人は恋人にはなったのだが、消防士に医者という職業柄忙しい日々を送っているのだから、そうそう会える機会というのは殆どない。そのため、恋人になってからもそんなに連絡することはなかった。
やっと雄介の方が落ち着いたのだろうか。
本当に二人は仕事が忙しいのだから、今まで連絡さえも取り合ってなかったほどだ。 しかし雄介が春坂病院を退院してからどれくらいの時間が経っていたのであろうか。 多分もう一ヶ月以上は会ってもなかったし、連絡もしてなかったようにも思える。
『元気にしてるか? ホンマ、スマン。 最近、全然連絡取れんくって。 なぁ、たまには何処かに出掛けへんか? そう思って連絡したんやけどな』
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