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ー記憶ー12

 脈の方は正常に動いているようで、そこにほっと胸をなでおろす望。 そして、望はため息を漏らすと、耳に入ってきたのは雄介の寝息だった。  その寝息を聞いて、小さな声で突っ込みを入れるのだ。 「おい……」  しかし、確かにこのままゆっくりと寝かせたい気持ちはあるのだが、お風呂場での事故は多い。  望は仕方なく、雄介のことを起こすことにしたようだ。 もしこのままにしておくと危険な状態になるのは間違いないからだ。  そのまま放っておいたら、溺死してしまう可能性だってある。 「雄介」  そう考えると、望はそっと雄介の名前を呼んで起こし始める。 「あ……先生……どないしてここに?」  望の方は心配して雄介のことを起こしたのにも関わらず、当の本人は未だ寝ぼけているのであろう。 起きた早々にボケをかましてきた雄介に、望はため息を漏らすのだ。 「……まったく。 寝ぼけてるんじゃねえよ……ここは俺の家だ。 お前は今日、ここに泊まりに来たんだろうが」 「あぁ! そうやったな。 そんでも、何で望はここにおるん?」 「お前がなかなか風呂から上がって来ないからだろ? だから、心配して様子を見に来たら、お前は寝てたって訳で。風呂場で寝るって事は危険な事なんだぞ」 「ああ、そういう事やったんか、スマンかったな。 その話なら知っとるで。 でもな、疲れた体っていうのは言う事聞かへんようになってくるしな。 まぁ、特に眠い時はな。 今日はめっちゃ疲れておったんかな? いつのまにか睡魔に襲われていたような気がしたわぁ」

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