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ー記憶ー16

 昨日は久々に望と会って、そのまま望の家に泊まることになった雄介。 しかし、今日は望との初デートの予定だった。 あんなことがあってしまった今では、隣には望の姿はない。 恋人に抱きしめられることを拒否されたことから、もう自分は恋人に嫌われたと思うのが普通だろう。  もし昨日あんなことがなければ、今頃、雄介たちもきっと目の前にいるカップルのようにイチャイチャしながら今日一日を楽しんでいたのかもしれない。  そう考えながら、雄介は目の前にいるカップルを見ながらため息を漏らす。  確かに雄介は女性ではなく、男性のことを好きになってしまっていた。 最初、望に告白した時に望からは「考えておく」という答えだったが、告白の返事は時間は掛かったものの、望からの返事をもらい、今は晴れて望とは恋人同士になった。 しかし、昨日二人の間にすれ違いが生じ、険悪なムードになってしまったのは間違いない。 そんなムードのまま望の家に居られることができず、雄介は望の家を飛び出すかのように出てきてしまった。  そして、電車を降りて自宅に向かう。  今の時刻は昼間の十一時。  完全に太陽は真上には登り切ってはいない時間だ。  まもなく東京では梅雨の時期を迎える。 お天道様の元でお布団や洗濯物を干せるには後少ししかないだろう。 雄介は帰宅してから、溜まっていた洗濯物をお日様の元で干し始める。  この気温ならば、今日一日外で干しておけば夕方には乾くのかもしれない。  雄介は洗濯物を干すと、窓を全開にしたまま床に大の字になり、天井を見上げるのだ。

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