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ー記憶ー21
「分かったよ……今日、帰ったら、電話してみるからさ」
「ああ、頑張れよ。 よし! 掃除終わり! 帰ろうぜ!」
和也は掃除道具を用具入れにしまうと、望の背中を励ますように叩き、同時に背中を叩かれた望は体をビクリとさせ、その瞬間、望の鼓動が早くなったようだ。 ただし、それは胸の高鳴りというよりも、望が雄介に連絡を入れるというプレッシャーからくる胸の高まりであることが伺える。 望は自ら人に連絡することが少なく、謝ることも苦手な性格のようだ。 仕事上では臆病などとは程遠いが、プライベートでは内向的な一面があるのかもしれない。
「あ、ああ……」
そう言いながらも、望の声は既に震えていた。
部屋の扉を閉めると、二人は駐車場に向かい、望と和也は別れる。
一応、和也に相談したことで晴れやかな気持ちになっていた望だが、帰宅後、雄介に何度も電話をかけようとしても、どうしても体が思うように動かない。 携帯のボタンを押すだけなのに、体は思うようにならない。
帰ってリビングのイスに座り、携帯の画面を約三十分もただただ眺めている。
その時、持っていた携帯が急に震え出す。
いきなり震え出した携帯に驚いた望だが、それは着信ではなくメールであることを示していた。 携帯の画面に点滅するメールマーク。
しかし、この時間に誰からのメールなのか、望は不安げな表情を浮かべている。
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