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ー記憶ー67

 だが、次の瞬間、望の視界に入ってきたのは雄介の姿だ。 「なぁ、お前さー、まさか、その格好で出かけるつもりなのか?」 「しゃーないやろ? 今はこれしか持っておらんのやから」 「流石にその格好じゃな」  そう、今雄介が着ているのは消防の制服だからだ。  いくらなんでも出かけるのに、その格好のままでは出かけられない。 「流石にそれじゃあさ、マズイだろ? 俺が洋服貸してやるし」 「ええねんけど、昨日とか貸してもらってた服なんかちょっと小さい感じがしたんやけどな。 そういや、望が着ているサイズっていくつなん?」 「俺はMだけど、これだって、日本人の平均男性じゃ普通だろ?」 「俺は普段はLやしな。 まぁ、望とはちょっと体型も違うやろうし、普段着の方は入るか分からんし、昨日みたいに綿素材だったら何とかなりそうやけどな?」 「まぁ、そうだけど。 あ! そうだ! ここからお前ん家って近いんだろ? なら、寄ってけばいいじゃねぇのか?」 「ああ、確かにそうやね。 ほな、そうさせてもらうわぁ。 ほんで、今日は何処行く?」  雄介はご飯を作り終えるとその料理をテーブルの上に並べていく。 「そうなだなぁ? 車でなら何処にでもいけるけどな」 「ほな! 遊園地!」 「今時期は暑いし、子供じゃねぇんだからさ」 「ほな、海は?」 「明日はまた仕事だから、疲れたくねぇし」 「外がダメっていうんやったら、もう、屋内系しかないやんか」 「そんなんでいいよ」 「望はインドアなんやなぁ?」 「そりゃ、ずっと、屋内で仕事してるからな、あんま、外に行きたい気分にはならないっていうのかな?」 「たまには外に出た方がええねんで」 「いいんだよ」 「そういうもんなんか?」 「そういうもんなんだよ。 ごちそうさま」  望は朝ご飯を食べ終えるとシャワーを浴びにお風呂場へと向かう。 「ま、ええか……望とどこかに出掛けられるっていうんやったらな」  そう独り言を漏らすと、空いている食器を流し台に置く。

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