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ー記憶ー68
暫くして、望はシャワーから出てくると、相変わらず望は中途半端な頭の拭き方に気付くと、
「また、頭中途半端やんかぁ」
「お前が拭いてくれるからいいんだよ」
「へ? あ、まぁ……あぁ……そうやんな……?」
その言葉に首を傾げる雄介。
病院にいる時の望は、こうやはり真面目というイメージがあったり、怒ったりしている方が多かった望なのだが、こうしてプライベートで過ごしていると意外や意外に甘えたりして、案外可愛い所があるのかもしれない。
「あ! そうや! 今日は俺が車の運転するわぁ……」
「え? あ、いいけど……ん? あ! そうか! 前に確か車の免許とか持ってるとか言ってたもんな?」
「ま、そうやんな」
「じゃあ、そうさせてもらおうかなぁ?」
そう言うと、望は雄介に向かい、笑顔を見せる。
「え? あ、まぁ……ええねんけどな」
「じゃあ、俺、着替えてくるな!」
「ああ」
食器の方も片付け終わり、後は望が着替えてくるのをソファに座って待つ雄介。
フッと見ていたニュースでは昨日この近くで火事があったらしく、消防士が一人重体だと言う事をやっていた。
雄介は今のニュースを見て、本当に自分の仕事とは命と背中合わせなんだという事を今更ながらに思い出す。
確かに雄介も実際そういう事になったのは何度もあった。
そう思っていると、リビングのドアが開き、
「お待たせ……んじゃあ、行こうか?」
「せやなぁ」
雄介は望に声を掛けられて、望の方へと視線を向けると、今日は休みだからなのか望の方も普段のスーツ姿ではなくラフな格好だという事に気付く。
ごくごく普通の格好。 望の普段着。
こう何もかも新鮮に感じるのは気のせいであろうか。 いや、望とこうして初めての事をしているのだから新鮮に思うのは当たり前なのかもしれない。
ジーパンにTシャツ、上にはシャツというラフな格好に少し笑えるような気がする。
普段はスーツに白衣姿に見慣れているのだから、望の普段着姿に見慣れないのは仕方がないところなのかもしれない。
でもよくよく考えてみると、こう私服姿に親近感というのか何だかプライベートで会ってるって感じもしてくる。
そして準備すると、二人は駅まで歩き、そこからは電車で雄介の家へと向かうのだ。
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