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ー記憶ー70

 やはり雄介の部屋は一部屋しかないようだ。  望はその部屋に通される。 「ほな、そこで待っといてー、今、着替えてくるし」 「ああ」  望は雄介の言葉にそう答えると、真ん中にあるテーブルへ座らせ、麦茶を出してタンスの中から洋服を選び始める雄介。  数分後、雄介は着替えが済んだのか、 「ほな! 行こうか!」 「ああ」  そう言われて望が見上げた先には雄介の普段着姿だ。  望だって雄介の普段着姿を見たことがない。 今日、初めてプライベートで出かけることになり、これで雄介の普段着姿も見られたということだろう。  雄介だって普段着は望の格好に似た感じでGパンにTシャツと本当にラフな格好をしている。  しかし、雄介の場合にはその格好さえ似合ってしまっていた。  本当にただ単にジーパンにTシャツ姿っていうだけなのに、なんでこんなにもカッコよく見えてしまうのであろうか。 そこはやはり色眼鏡で見てしまっているからなのであろうか。 そこは定かではないのだが、望はその雄介の姿に見惚れていると、 「何、ボッーとしとんねん! ほな、行くで!」 「あ、ああ……そうだったな」  しっかりと雄介のことを見てしまっていた望。 急に雄介に声をかけられ我に帰ったのか、雄介の後を追うと部屋を出る。 「駐車場は?」 「ここのマンションの裏手や。 まぁ、表から来ると見えへん所にあるしな」 「そうだったのか」  二人はエレベーターに乗ると、階下に降りて駐車場に向かうのだ。 「えーと、俺の車はどれやったかな?」

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