173 / 1471
ー記憶ー117
雄介は自ら志願した以上、弱音を吐くわけにはいかないと思った。
しかし、どれだけの研修を積んできたのか。
雄介の体は精神的にも体力的にも限界に達しているようだ。
今日一日の研修を終えて体を休ませることができるのは、寝る時だけだ。
雄介は疲れた体を休めるためにベッドに横になり、瞳を閉じたと同時に携帯が震え出す。
雄介はメールだと思って無視していたが、携帯が未だに振動していた。
仕方なく、雄介は半身を起こし、携帯を見る。
そこには『和也』と書かれていた。
その名前に溜め息をつきながらも、雄介は仕方なく電話に出る。
しかし、いつもはメールなのに、何で今日に限って電話なのだろうか。
そこで首を傾げながらも、雄介は通話ボタンを押す。
『よっ! 元気にしてっか?』
「ああ、まぁな……。 研修の方はめっちゃ辛いけど……」
『やっぱ、大変なんだな』
「ああ、まぁな……。 とりあえずさ、また、明日もあるし、電話切ってもええか?」
雄介はもう限界の限界なのだろう。 声までもが掠れてしまっている。
『え? 本当にこの電話を切ってもいいんだな?』
そう、和也の口から意味ありげに言ってくる。
『本当にこの電話を切ってもいいんだな?』
ともだちにシェアしよう!