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ー記憶ー118

 しかも同じことを言っていたが、一度目よりも二度目の方が声がやや高く聞こえたような気がするのは気のせいだろうか。 「ス、スマンが……今の声でもう一度言ってくれへんか?」 『まったくもう……しつけぇんだよっ! 電話を切ってもいいのか?』  電話の相手は今度はちょっとキレ気味で言ってきた。 「あぁ……ぅん……そうだな……切らなくてもええよ……」  雄介も今の声が誰なのか分かったのだろう。 そしてその電話の相手に対して何故かベッドの上で正座してしまった。 「……今の声は望やろ?」 『ああ! そうだ! 何、恋人の声を忘れちまってるんだよ……それほど、疲れちまってるってことなのか?』  きっとこんなことを言っている望は電話の向こう側で赤面しているに違いない。 それを想像してしまい、雄介はニヤケたようだ。 「あぁ! おうっ! 大丈夫やって! 確かに望の声やんな」 『ま、いいや……とりあえず、今、雄介はそのレスキュー隊の研修に行ってるんだろ? まぁ、頑張って来てくれよっ!』 「ああ! おう! じゃあな。」 『ああ! そうだ! もう一つだけ言っておきたいことがあるんやけど記憶が戻ったのは、家に居て、朝目が覚めた時だったんだよな。 だけど、俺の隣には雄介はいなくて……その代わりっていうのは変だけど、和也が側に居てくれたから、記憶のない時の俺のこと、全部和也に聞いたからさ』 「そうだったんだ……。 ま、とりあえず、望の記憶が戻ったみたいで良かったわぁ。 ほな、またな」

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