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ー記憶ー119
久しぶりの望からの電話に、雄介の顔が緩み放っていた。
しかも、今の望は雄介のことを『お前』ではなく、ちゃんと『雄介』と呼んでくれていたのだから。
どうやら、本当に望の記憶は戻ったらしい。
雄介の体は、今までの研修で疲れきっていたが、今の恋人の言葉で立ち上がる。
これが愛のパワーという所であろうか。
「よっしゃ! 明日からまた暫く研修頑張んぞ!」
そう、雄介はベッドの上で気合いを入れ直し、再び横になる。
後数日頑張れば研修から解放される。 そして望にも会えるのだから、楽しみで仕方がないようで、本当に今までの疲れが吹っ飛んでしまいそうな雄介。 後数日の辛抱だ。
数日後。
研修先から春坂市へ帰って来た雄介は、荷物をそのままに真っ先に望が働いている病院へ向かった。
病院に到着した雄介だが、まだ午前中である。
ロビーや診察室の前にはまだ患者さんが沢山待っている状況だった。
それでも構わず、雄介は今日の外来担当は望だと確認し、望がいるであろう診察室へと向かった。
「望!」
「ちょ、お、お前まだ診察中だ! 話は後で聞くから、とりあえず今は外で待ってろよっ!」
久しぶりに望に会えると思っていた雄介はどうしても、いてもたってもいられなかったのか、望がいるであろう診察室へと入ってしまっていた。
望は雄介の顔を見ると一瞬顔を赤らめたが、とりあえず雄介の背中を押して追い出した。
雄介らしい行動に望らしい行動なのかもしれない。
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