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ー天災ー14

 子供を見つけ、救出したという点では良かったが、現在は自分の命さえも危うい状況になっていた。 ボンベに入っている空気が尽きれば、雄介自身も危険に晒される。 勿論、その子供の命も危うくなる。  雄介は何とか携帯用消火器で1020室の部屋から脱出できたが、もうそれも使い尽くしてしまった。  外からの消火活動が行われているにも関わらず、未だに火の勢いが衰えないマンション火災。 そして携帯用消火器が使えない今、雄介は前に進むことができなくなった。  せめてこの子供だけでも救出できればと思うが、非常用階段までの道のりもまた遠い。 雄介がいる場所からは反対側にあるのだから。  雄介がしょっているボンベの方も、もう空気の残りがほとんどない。 空気を吸おうとしてもなかなか入ってこない。  雄介自身も段々と苦しくなってきているようだ。  だが、雄介はそんな中でもどうにかして脱出経路を探そうとするが、意識が薄れつつあり、頭が回らない。  ここまで単独行動をしてきて子供のことを助けたのは良かったが、このままでは二人で地上に戻ることができるかさえも分からない。  もし生きて地上に戻れたとしても、雄介の体はすでにボロボロで、入院することになるだろう。 そうすればまた望と一緒にいられる。  いや、ここまで来て自分が意識を失うことは構わないが、せめてこの子供だけは助けたい。 助けられなければ、ここまで一人で来た意味がなくなってしまうのだ。

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