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ー天災ー15
今は、雄介自身のことよりもこの子供を一刻も早く救出する方が優先に決まっている。
だが、こういう時に限って頭に浮かんでくるのは朝の出来事だ。
今日の朝、掲示板に書かれていたのは『異動命令』だった。
そのリストの中に雄介の名前が入っていた。
だから、今ここで雄介が入院でもすれば、それが延びる可能性がある。
だけど、目の前にある子供の命も助けなければならないという使命もある。
そうだ、この子供が助かってしまうことで自分も助かることになる。 ということは、雄介はここ春坂から離れなければならないということになってしまうだろう。
だが、その間にも本当に空気ボンベの空気がなくなってきているのだろうか。 空気を取り込もうと一生懸命に空気を吸ってみるのだが、なかなか吸えないという状況にまでなってきていた。 とうとう体の中に空気を吸い込むこともできなくなってきたのか、雄介の瞳は霞み、視界の方も段々と見えなくなってきている。
雄介は何とか意識を取り戻そうと頭を振ってみるのだが、やがて完全に視界さえも奪われてしまっているようだ。
瞼が落ちたと同時に、雄介の体は抱えた子供もろとも床へと落ちていくのだ。
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