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ー天災ー43

 やはり次から次へと運ばれてくる患者さんは、本当に重傷者ばかりで命の危機が迫っている者が多い。  そんな状況に望と和也は、外の様子が気になったのか、患者さんの合間をぬって外へと出てみた。  二人が外に出ると、先程の窓から見た景色とは違い、こう生々しいというのか、窓の向こうに見える景色とは全く違う感じがしたのは気のせいであろうか。  今まであった平穏な日々はどこに行ってしまったのであろうという光景が広がっていた。  道はひび割れ、電柱は倒れ、道を塞いでしまっている。 そして道には窓ガラスも割れているのか、破片も散らばっているという状態だ。  今あった地震がどれだけ凄かったのかを、肌全体、いや体全体で感じるほどだ。 「……マジかよ」  そう望はボソリと呟くと、和也の肩に手を置いて病院内へと足を向ける。  今まであった街並みはない。 ただただ瓦礫が散乱していて、本当に足の踏み場もない状態だった。 今までネオン輝く街並みだった所は、本当に何処に行ってしまったのであろうか。 「俺たちは処置室の方に行こうぜ。 外科的なことは俺たちしかできないかな。 軽い怪我程度なら内科医でもできる仕事だけどよ」 「ああ、そうだな」  二人は病院内へと戻ると、一番大変であろう処置室の方へと向かうのだ。  もう既に今日はそれだけの患者さんが来るかなんて事は分からない。  休んでいる暇はなさそうだ。  だがこういう時に限って、望の頭に浮かんできているのは雄介だ。  何かあると恋人の顔が浮かんでくるのは仕方がない事だろう。 本当に好きなのだから心配してしまうのは当たり前な事だ。  でも今はそれどころではない。 そうだ、雄介のことを想うのは別にいいのかもしれないのだが、今は目の前の患者さんの処置に当たる方が優先に決まっている。  望は自分に気合いを入れ、患者さんの処置に当たるのだった。

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