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ー天災ー45
望はソファに体を預け、和也は「シャワーを浴びてくる」と言ってシャワー室に向かった。 その直後、シャワー室から和也の叫び声が聞こえてきた。
「水もお湯も出ないんだ!」
「……え? 本当か? 僕も入ろうと思ってたのに?」
ふとそこで望は考える。 確かに今まで患者さんを助けるために夢中になっていたから忘れていたが、これほどの大地震が起きているのだから、ライフラインは寸断されているのだろう。 ただここには自家発電がある。 自家発電しかないのだから電気だけは来るのだが、水はパイプ管がこの地震で破裂や断裂していて供給されていないかもしれない。 いや、病院には水用のタンクはあったはずだから一応水は供給されているかもしれないが、病棟の方や診察室の方には今は供給されているのだろう。 そういう時は完全に患者さんの方が優先だから。 ガスの方はもう完全にストップ状態だった。
「ま、仕方ないな……」
今の条件はみんな同じ。 自分たちだけというわけにはいかないからだ。
そうだ、今はこの建物は完全には壊れてはいないのだからそこはいいとしよう。
だが、未だに電気さえ復旧していないのだから自家発電だっていつ止まってもおかしくはない状況だ。
せめてライフラインだけは早く復旧してほしいと思う二人。 いや、そこは二人だけではない。 被災したみんながそう思っているだろう。
そう思っていると、いきなり部屋の電気が消えてしまった。
それと同時にアナウンスも流れてきた。
「ただ今の時間……不必要な電気の方は消灯させていただきます」
と。
「ま、そういうことなら仕方ないか」
「……だな」
大地震が起きた首都東京。
もう地震から二日たった今でもライフラインは復旧していない。 寧ろこの大都会で起きたのだから復旧にも時間が掛かるだろう。
今まで夜でさえもネオンが輝き明るかった街は今はもうない。
今の東京の夜は自然の明かりしかない街となっている。
そして夜は闇の中に包まれているのだ。
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