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ー天災ー77

 それなら、雄介がいるだけの間だけでも幸せな時間を過ごしてはいけないのであろうか。  そうだ、望がたった一言を雄介に言えば、もしかしたら恋人との甘い時間をもう少しだけ過ごせるのかもしれない。 「な……」  そう、雄介に声を掛けてみるものの、やはりその後の言葉が続かない望。  望は大きく深呼吸をして、そのままベッドへと顔を埋めてしまうのだ。  そして勇気を出して言った言葉は、 「あのさ……もう少しだけ……もう少しだけ……この時間を過ごさないか?」  こんな言葉、本来なら顔から火が出るほど恥ずかしい言葉だ。 だけど、この一言で雄介のことを止められればと思い、言ってみた。  果たして雄介はその望の言葉で思いが伝わってくれただろうか。 「望……? 気持ちはよう分かんねんけどな……もう、これ以上は……そのな……俺とお前が一緒におったら、我慢出来へんような気がして……それでもええんやったら……」  雄介だって今のこの誰もいない状況なら望のことを抱きたい気持ちは十分にある。 だが、今はそんなことをしてる場合じゃないということも十分に承知している。 だから、雄介はどうにかして耐えようとしたいた。  そこまで雄介に言われると、望の方ももう言葉は出てこないようで黙ってしまっている。 だって、雄介の方は今はそんな時ではないと分かっているのだから。 そんなこと、望だって十分承知していることなのだが、それでも今は二人きりであって、雄介がいない間、二人だけの時間さえなかったのだから、甘えることさえも我慢してきたのだから、そこはいいんじゃないかと思ったから思い切って言ってみたのだから。  とりあえず、二択だ。  ここは、今日という日を雄介と大事に使うのか。 ここは、雄介と同意見で、もう二人だけの時間を諦めて病院の方に戻るかをだ。

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