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ー天災ー78
望はベッドの上でうつ伏せのまま暫く考える。
確かに、恋人とは久しぶりの再会なのだから、今は思い切り甘えたい気分だ。 だけど、世の中がこんな状態で本当に大変だという時に甘えるべきではないということも十分に分かっている。 やはりこの世の中が本当に落ち着くまで、恋人たちは我慢しなければならないのであろうか。
暫く色々考えた後、どうやら望は考えをまとめたらしく、
「雄介……それでもいい……だから、今は……そのさ……甘えさせてくれねぇかな? それでもダメって言うのなら、もういいし……」
こんな素直なこと、いつもの望なら言わないだろう。 だが、やはり少し完全に離れてしまったということで、少し気持ちが変わったのかもしれない。 そう、雄介がいなくなって恋人がいない寂しさがやっと分かったのであろう。 だからこそ、こう素直な気持ちを言葉にすることが出来たのかもしれない。 普段の望ならこんな言葉恥ずかしくて言えやしないのだから。 それだって、こうさっき見たような台詞は体の中から熱くなるほど恥ずかしい言葉だ。
「そっか……望が俺ん事、そこまで想ってくれていたことがホンマに嬉しいわぁ。 ほなら、ホンマに望の望み通りにしてええんやな?」
雄介はもう一度、望の側へと向かうと望の体を抱き締める。
「……望」
そして優しく望の名前を呼ぶと、体を仰向けにし、そして望の頰にキスを落とし唇にも唇を重ねるのだ。
「とりあえず、こんなんでええか?」
そう、雄介は望に尋ねるが、まだ望の方は満足はしていないようで、黙ったまま頭だけを振っていた。
その望の反応に雄介はひと息吐くと、
「望がそういう気なら」
今度はしっかりと望の頭を両手で支え、軽く望の唇に唇を重ねると舌を口内へと忍ばせ、舌を絡ませる。
「ん……ふぅ……」
こう、望の甘ったるい声を聞くのは、本当にどれくらい振りだったのであろうか。
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