264 / 1471

ー天災ー85

 明日からはまた仕事をしなくてはいけない体なのに、どうしても意識を飛ばせない雄介。  現在の状況下では、人間の三大欲求のうち三つ全てを満たせていないことが明らかだ。  そう、人間の三大欲求とは?  性欲、食欲、睡眠欲。  少なくとも今の状況では、性欲と食欲だけが満たされていない。 そして、今の雄介には睡眠欲すら果たせない。  何度考えても答えが出てこない。 でも、なぜこんなにも眠れないのだろうか。  そうだ、人間というのは悩みがある時には寝ることができない。  雄介は、望のことで何度も悩んだ夜があった。  恋人のことで悩まない人はいない。 それに、自分たちは男同士であり、仕事柄もあって悩むことはたくさんある。  確かに仕事柄寝れないというのはたくさんあるのだが、仕事で寝れないのと精神的に寝れないのとでは全然違うような気がする。  望がいない頃はこんなにも悩んだことはなかったはずだ。 だからといって、恋人の望を恨むわけではない。  自分が好きになったからこそ愛おしくて心配だからこそ、好きだからこそ悩むことが増えたのだろう。  雄介だって、本当に望のことが好きだ。 今だって望を好きになったことを後悔はしていない。  最初は望に告白して恋人同士になること、無理だと思っていたが、望はちゃんと答えてくれた。 本当にその時は嬉しくて仕方がなかった。 だがその後も沢山、望とは苦悩をしてきたのだが、それでも気持ちは変わることはなかった。 ずっと望のことが好きだ。 何があっても望のことは好きだった。 今は本当に好きでしかない。  人を好きになることには、悩み苦しみもたくさんあるが、楽しいこともそれ以上にあることを雄介は知った。  そう、雄介は色々と望のことが重なっていて、なかなか眠れなかったが、いつの頃か眠りに落ちてしまったようだ。

ともだちにシェアしよう!