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ー天災ー89
「もう少しだけ……もう少しだけこのままでいさせてくれへんか? 俺らさ……もう少し経ったら、また、離れ離れにならなきゃならへんやろ? お前……寂しいとかって思わへんの?」
そう望の顔を見て話す雄介なのだが、こうどこか悲しげな表情を浮かべているのは気のせいであろうか。
望だって、雄介にそこまで言われなくても分かっている。 それで昨日は寝れていなかったのだから。
確かに雄介に甘えたい。 だけどこう自分は雄介に上手く伝える事が出来ないのであろうか。
望はその雄介の問いに「うん」とも「ううん」とも言わなかった。 ただ黙ったまま雄介に抱き締められているだけだ。
「ホンマはもうちょいこのままでおりたい所やねんけど、今日はもう行かへんと……」
そう雄介は言って望から離れようとしたのだが、望が掴んでいる手に力が入っているような気がして嬉しい気持ちと切ない気持ちとは入り混じっている状態なのかもしれない。
そしてその直後、望の口から呟くように「もう少しだけ……」と言っていたようにも思える。
確かに望の言う通りもう少しだけこのままの状態でいたいのは山々なのだが、雄介は仕事モードに切り替えたのか、
「ほら、望! 行くで!」
「あ、え? ああ…」
そしてやっとの事で二人は立ち上がり、和也達がいるソファへと向かい、食事を始めるのだった。
それからソファへと行った早々に、
「……って、お二人さん! 遅かったみたいですけどー、イチャイチャとしてたんじゃねぇのか?」
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