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ー天災ー90
そう和也は意味ありげに、にやにやとしながら言っている。
そんな和也に裕実の方は目を丸くしていた。
「え? あ、違うって!」
「そ、そんな事ねぇし!」
和也の言葉の後に二人が思いっきり否定する。
寧ろ、そんな慌てたような否定の仕方なんかしたら余計にイチャイチャしていたようなものだ。
和也は、
「はいはい、分かりましたよー! お二人が今一番熱いカップルだっていう事がね」
「和也!!」
朝から、この部屋では賑やかな感じがする。
「さて、そろそろ、俺も行かなきゃな」
「そうだな……俺達も行かないと……」
雄介は望達よりも早くに出て行く。
「……で、昨日いきなり本宮さんは来たんだろ? 今は大変な時期にこんな所で大丈夫なのか?」
望の問いに答えたのは和也だ。
「昨日見た限りでは大丈夫なような気がしたんだけどな」
「そっか、大丈夫そうならいいんだけどさ……まぁ、そこは和也がフォローしてやれよ」
「分かってるって!」
「ああ! んじゃあ!」
そう和也に答えると今度望は裕実の方に向かい、
「じゃあ、今日から宜しくな……」
そう言いながら望は右手を差し出す。
「はい!」
裕実の方は大きな返事と共に立ち上がってしまったからなのか、直ぐそこにあったテーブルの角に膝をぶつけてしまったようだ。
「……っ! で、では……宜しくお願いしますね……」
膝をぶつけてしまったものの、直ぐに立ち上がると望と握手を交わす裕実。
そんな一面がある新人看護師の本宮裕実。
本当にこの人物は看護師で大丈夫なんであろうか。 といきなり心配どころを見せた裕実だ。
地震が起きてから早五日。
未だ患者さんが絶える事はなかった。
望が下へと降りると、本当に沢山の人達がロビーを埋め尽くしていたのだから。
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