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ー天災ー105
そして望から裕実に言った言葉は、嫌味とも言えるし、嫉妬丸出しのものとも言える。
「あー、ごめんな。 本宮さんさ、コイツは一時的にこっちに来てるだけだからさ、この仕事が終わったら向こうに帰っちゃう訳……だから、多分! 本宮さんにそういう事教えている暇はないと思うんだよね」
そんな風に説明している望に笑いを堪えているのは和也だった。
そして、雄介の方はそんなことを言っている望の顔を覗き込む。
「え? あ、俺……なんか変な事言ったか?」
そう言う望の発言に対して、雄介は逆に嬉しそうな表情をしていた。
そう思った直後、裕実からあっさりと意外な言葉が出てくる。
「やっぱり、吉良先生と桜井さんって、そういう関係だったんですねー」
「……ん! そうなん……」
雄介が最後まで言葉を言い切らないうちに、望は雄介が何を言おうとしたのかを理解し、雄介の頭を叩くのだ。
「ちょー、今のめっちゃ痛かったしー」
「お前が変な事言おうとしてるからだろうが!」
「ええやんか……俺たちはラブラ……」
と、また最後まで言い終わらないうちに、雄介は望に頭を叩かれる。
「本気で叩くなや……ホンマに痛いんやって……」
「それなら、そんな事、言うんじゃねぇよ……」
望は顔を赤らめながら両腕を組み、ため息を漏らす。
「……って、吉良先生。 桜井さんが言わなくても、僕的には昨日の時点で気付いてましたからね」
そうクスリとする裕実。
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