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ー空間ー49

 流石に医療関係者の前ではもう誤魔化せないと思ったのか裕実は諦めたかのように息を吐くだが次に行く場所に関して緊張しているという訳ではなく、 「あ、いあ……それは、和也さんの事が好きだからですよ」  そう答えていた。  何だか緊張してるというよりは和也の事が好きだから。  脈が早くなってると答えた方が恥ずかしくないと思ったからなのかもしれない。 「……へ?」  まさか裕実の口からそんな言葉を聞けるとは思ってなかった和也はその言葉を聞いた途端、裏声を上げる。  逆に和也は望の素直じゃない方に慣れているからなのか素直に答えられると免疫がないのかもしれない。 「今の僕の言葉聴こえてませんでした?」 「あ、いや……しっかりと聞こえてたんだけど……あまりにも嬉しくて言葉にならなかったっていう事かな?」  一瞬、和也ビックリした表情をしながらも直ぐに素に戻すと嬉しそうに答える。 「あ、ああ……俺もお前の事が好きだからな」  そう和也の方も改めて愛の言葉を言うと、ここはまだ駐車場だというのに裕実の体を抱き締める。  そして和也は裕実の耳側でこう囁くのだ。 「何回も言うようだけど……ホント、俺はお前の事、好きになって良かったと思う」 「僕もですから……和也さんも安心して下さいね」

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