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ー空間ー53
再び二人の間に沈黙が流れる。 ただただ今は道路沿いを走る車の音が聴こえてくるだけだ。
それから十分も過ぎた頃だろうか。 今まで顔を伏せていた裕実は急に顔を上げ、
「分かりました! 行きましょう!」
と意を決したかのように言うのだ。
その裕実に決断に和也は、
「分かった……」
と静かに言い先に車を降りて行く。
それからは裕実の方も車を降りて来て、裕実は和也の後を追い二人はホテルの中へと入って行くのだ。
そのホテルは無人なのであろうか。 壁には各部屋の写真があって部屋を自由に選べる形になっていた。
「何処にする?」
そう和也は裕実に問うたのだが、裕実からの返事はなかった。
そして暫くして小さな声で、
「ど、どこでもいいですってばー」
そう小さな声で言う裕実。
「……まぁ、じゃあいいか」
和也は適当に部屋を選ぶと裕実の気持ちを察したのか、裕実の事を隠すように肩へと腕を回してエレベーターへと乗り込むと部屋へと向かう。
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