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ー空間ー55

 そして和也はわざわざお笑い番組にしたのにも関わらず部屋内はテレビからの音しか聞こえて来ない。  和也はいきなり立ち上がると、 「俺、風呂入って来るなぁ」  と言いお風呂場の方へと足を向けるのだが、和也はある事に気付き、そこで徐に服を脱ぎ始めるのだ。  和也がお風呂場に行ってしまった後の部屋はシャワーの音とだけが響き渡っていた。  暫くするとシャワーの音が止み和也はお風呂場から上がって来るのだ。  そして和也は再びベッドの方へと横になる。 「お前、お風呂はどうするんだ? 入って来るんだろ?」 「はい! 入って来ますよ!」  そう笑顔で言う裕実なのだが、まだまだ緊張の色は隠せないようだ。 「じゃあ、入って来いよ」  和也はそう優しく言うと裕実は立ち上がり、お風呂場へと向かうのだが脱衣所がない事に気付く。  きっと、こういう所なのだから脱衣所はないのであろう。 結局、お互い裸になるのだから脱衣所はいらないということなのだから。  だからさっき和也は部屋内でいきなり服を脱ぎ出したという事だろう。  和也はそういう事に関して気にしないのかもしれないのだが、裕実の場合には流石に恥ずかしかったのであろうか。 和也とは死角の場所へと向かうとそこで服を脱ぎ、お風呂場の方へと向かう。  和也は裕実がお風呂に入っている間そういう番組に変えてみたのだが、そこはやはり男女物ばかりで、しかも女性が上げる声とは業務的に出している感じがしてあまり好きではなかったのか和也は番組を変える。 だが今の時間は本当に下らない番組しかやっていなかったようだ。

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