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ー空間ー56

 和也はバスローブを着たまま布団の中へと潜り込む。  裕実の事を考えると今日は出来ない可能性が高い。 あんなにもガチガチに緊張していているからだ。 そんなに緊張されるとこっちも手を出しづらい。 だがせめて今日はせっかくの二人きりの時間なのだからキス位はとは思っているようだ。  確かによくよく考えてみたら今まで裕実とはあの告白した以来キスをしていないような気がする。  そうだ和也は望の事を気にし過ぎて何だか今まで恋人の裕実の事を放っておいたからなのであろう。  和也からしてみたら裕実は大事な恋人なのではあるのだけど、望と友達として居た期間の方が長い為か望の方も気になってしまっているのは事実だ。 しかも望の恋人である雄介は今はいない。 だからこう和也がフォローしていたというのか恋人がいない人の前でこう堂々と恋人の事を話せないような気がして和也は今回裕実の事を望の次にしてしまっていたような気がする。 だが今日やっと望の口から言ってもらえたような気がしたから今回和也は裕実とデートをする事が出来た。  和也はベッドの中でゴロゴロとしているとシャワーの音が鳴り止む。  そして裕実の方も同じくバスローブを身に纏ってお風呂から上がって来た。  だが裕実はお風呂から上がって来てもおろおろとし逆に今度はベッドの前で突っ立ったままだ。  多分どうしたらいいのか。 というのが分からないから突っ立ったままなのであろう。  それに気が付いた和也は、 「どうしたんだ? 明日も仕事があるんだから、とりあえず、寝ようぜ……こういう所なんだし、ベッドは一つしかないんだからさ」 「あ、はい……では、失礼しますね」  裕実はそう言うとやっと和也がいるベッドへと上がって来る。  和也と裕実はベッドの中で向かい同士になると、 「まだ、緊張しているのか?」  と和也の方は裕実に優しく問うのだ。 「大丈夫ですよ」  そう笑顔で言う裕実なのだが、やはりまだ緊張している様子だ。  そんな裕実に和也は優しく抱き締め頭や背中等を優しく撫で始める。 「和也さん……」 「ん? なんだ?」  裕実からそう言い出して来たという事は、きっと裕実は和也に何か言いたいのであろう。 それでも和也は裕実の体を撫で続けていた。 「和也さん……僕は構いませんよ……和也さんに抱かれても……。 でも、勘違いしないで下さいね……僕は和也さんにだけ抱かれてもいいと思っているだけですから」 「ん……分かった」  そう和也は優しく返すと少しだけ体を起こし、まずは裕実の耳を優しく舐め上げるのだ。 「ちょ……ぁ……え?」

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