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ー空間ー91
そして望の方も仕事の準備をしようとしたのだが、やはり連日の寝不足にプラスして学会の為に資料作りをしていた為か体に疲れが蓄積されていたようだ。 しかも夕飯も夜食も抜きで続けていたのだから余計に体に負担が掛かっていたのかもしれない。 数歩も歩かないうちにフラフラとしてしまい倒れそうになったのだが、とりあえず近くにあった机で自分の体を支え完璧には倒れなかったようだ。
「流石にちょっと体にきてるみたいだな」
そう独り言を漏らすと望は和也の事を呼び出す。
「和也さぁ! 後で点滴打ってくれねぇかな?」
「……へ!? 何!?」
と和也はロッカールームから着替え途中で出てくるのだ。
「お前な……その格好で出てくんなよ」
そうため息混じりに言う望。
「そんな事言ったって呼び出したのは望の方だろ?」
確かにそうなのだけど、だけど何もその格好で出てこないくてもいいじゃないかと望は思っているのであろう。
「とりあえず、着替えてから出て来い」
望は和也に向かいそう言うと和也が出てくるまで自分の椅子へと腰掛ける。
暫くそこでボッーとしていた望。 すると和也はロッカールームから鼻歌を歌いながら出てくるのだ。
「……で、望……用事は?」
「あ、ああ……流石にな……もう、ここんところ寝不足でもあるし、体が言う事聞かないからさ……お前に点滴打ってもらおうと思ってよ」
「点滴!?」
和也はその望のごくごく普通の言葉に裏声を上げる。
「何か驚くような事、俺、言ったか?」
「あー、いーや……別に……」
そう和也は言葉を濁し、そして望から視線を外す。
「何か都合の悪い事でもあったのか?」
望は和也が何か隠しているのが分かっているのか和也に向かって怪しい笑みを浮かべ和也の顔を伺うのだ。
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