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ー空間ー92
和也は何かを誤魔化すかのように話をすり替え、望の腕を引いて立ち上がらせようとしたのだが、
「誤魔化すなよ……俺だってなぁ、三年もお前と一緒にいるんだぞ。 だから、お前の事をよーく分かってるつもりなんだけどな。 いいじゃねぇか……昨日、お前等に何があったのか? っていうのを聞いてもさ。 お前は俺の話いくらでも聞いてくれただろ?」
和也は望のその言葉に目を丸くする。 だが、その直ぐ後にため息を吐くと、
「……ったく。 逆に何で望は俺の気持ち分かってくれねぇんだよ。 それじゃあ、俺の事、分かっているうちに入らねぇんだよ。 そうそう! 俺的にはいくらでも望にノロケ話なんて事は出来るけど、でも、望の事を思うと話する訳にはいかねぇんだよ。 望……自分の方こそ、自分の気持ち分かってるのか? 今、望には恋人の雄介はいないんだろ? 俺達の場合には毎日のように会おうと思えば会えるけど、望の場合には会えないじゃんか……だから、俺達の話はしたくねぇの……ただの自慢みたくなっちまうからさ」
和也は長々と和也の心に中に思っている事を望へと語る。 すると望はその和也の言葉を聞いた後に息を吐くのだ。
「本当、それでも、俺の事分かってるつもりなのか? 誰がお前等の話聞いて傷付くって言った? 俺はただ話聞いてやってもいいって言ってるんだから、いいんだろ? お前はただ単に深く考えすぎなのっ!」
そう言うと望は和也の額にデコピンを食らわせる。
「……痛っ」
「ま、いいや……それはいいんだけどさ、とりあえず時間ねぇんだろ? 早く診察室の方に行っちまうぜ」
「あ、ああ……そうだな」
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