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ー空間ー94

 今は望と雄介は遠距離恋愛となってしまっているのだが、それでも二人は十分に幸せで、望は望の後に恋人を作った和也にも裕実と幸せであって欲しいとさえ思っているのかもしれない。  診察室に行くと、和也は望達の診察室の隣で用意をしていた裕実のことも呼び出し、望はいつもの診察室の椅子に座ると、和也は点滴を始め、そして裕実の方は診察室のベッドの方へと座らせる。 「点滴を打つ場合、痛くない方法は?」  そう言いながら、和也は素早く裕実の腕に針を刺すのだ。 「その方法は?」  裕実は和也にそう聞きながら、和也のことを見上げる。 「はい! 終わりましたー! 痛くなかっただろ?」 「え? そうだったんですか? 今、本当に和也さん……僕に針打ちました!?」 「あ、ああ……だって、針がちゃんと刺さってるだろ?」 「あ、確かに……。 確かに今のは痛くなかったのですが、本当にある意味、あっという間でしたよね?」  まだ裕実は打たれたという痛みがあまりにも無さすぎたことにびっくりした表情で和也のことを見上げる。 「ま、まぁ……慣れだよな? 注射は逆に思いっきり行った方がいいらしいぜ。 あ! でも、そんなに強くはダメだけどな。 そこも手加減とかしてだからな」  和也はそう言うと診察室の準備を始める。

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