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ー空間ー101
望の行動に和也はクスッと笑っている。 望らしい行動と裕実らしい行動が交錯する様子に和也は心からの愛らしさを感じる。 彼は二人の性格をよく理解しており、そのためか、そんな彼らの行動が可愛くてたまらなかった。
そして、和也が運転すると車内は逆に静寂に包まれる。
望と裕実は仕事上では接点があり、話したこともあるが、プライベートでは初めての会話だ。 おそらく、二人はどんな話題を振っていいかわからないのだろう。
しかし、仕事の話題はプライベートでは不適切だろうし、だからこそ、二人の間に会話が生まれないのかもしれない。
その中で、和也の携帯が鳴る。
「和也さん! メール!」
「ああ、分かってるよ……メールの内容見てみたいけど、今は運転中だからな……あ! そうだ! 裕実、読んでくれねぇか?」
和也が言うと、一瞬で和也は考えたようだ。 今日、和也の携帯にメールしてくる人物は限られているだろう。
メールということは、完全に病院からではない。
いや、むしろ病院からならまずは望の方に連絡が来るはずだ。 和也の中でメールの相手といえば、裕実か望か雄介ということになる。 裕実も望もここにいるから、もう一人しかいない。
そう思うと和也は、
「あ! やっぱ、いいや……後で信号に引っかかった時にでも読むからよ」
と言うのだ。
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