和也はそう言うとトランクを開けようとしていた望の手を取り、裕実も一緒にターミナルの方へと向かうのだ。 　今日は流石に土曜日というだけあるのか、色々な人々が行き交っている。 　その中で和也は雄介と待ち合わせをしている場所を探していた。 　流石にさっきは望の手を取ってしまったのだが、今は和也の隣に裕実でその後ろを望が歩いている。 　そして和也は一生懸命、雄介との待ち合わせ場所を探していると、その待ち合わせ場所に雄介の姿が目に入ってきた。 「あ！　桜……」 　その雄介の姿に気付いたのは和也だけではない。　その隣を歩いている裕実も気付いたようだ。　だが和也は咄嗟に裕実の口を押さえるのだ。 　それから和也は裕実にアイコンタクトを送ると、裕実はその合図に気付いたらしく、二人は手を離して体をも離す。　そうすることで望の前が開け、望にも雄介の姿が入って来るように仕向ける。 　雄介と望はプライベートでは本当に久々の再会。 　望はその雄介の姿に何をしたらいいのか？ っていうのが分からないのか、完全に固まってしまっていた。 　きっと今の望は雄介の姿に声も出ないほど驚いてしまっているということだろう。 　それと不意打ちの再会に、ある意味、どうしたらいいのかが分かっていないのかもしれない。