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ー空間ー105
それを見て、望の方は息を吐くと、
「そういう事だったのかよ……」
望はそうため息のように小さな声で呟くと、今度、雄介の方へと視線を向けて、
「こんなに早くお前に会えることができて、良かったぜ」
今まで、こんなにも真剣に雄介の目を見てまで望がそんな事を言った事があったのであろうか? 雄介の方はそんな望に目をパチクリとさせながら見ていた。
暫くの間、二人の間に沈黙が流れる。
そんな望を見つめていると、雄介の方はその顔に、いや唇に誘われたような気がしてしまったのか唇を重ねようとしたのだが、
「ココ、まだ人前なんだから……そういうのは無しな」
そう、いつものように、そこは望に突っぱねられてしまったようだ。
「……ったく。 やっぱ、お前の事、調子に乗らしちゃいけなかったんだな。 そういうところ、考えてくれねぇんだからよ」
望はそう言いながら腕を組み、雄介とは反対側を向いてしまう。
「久々の再会やねんから、それくらい、ええやんかぁ、それに今の顔ってな……メッチャ誘われておったように思えたしー、俺がこう人前とか関係無しに我慢出来る訳がないやろうが……」
「そんな事知っこっちゃねぇよ。 そこは、お前が勝手に思った事だろ? だから、そこは俺には関係ないな」
「そんな事言わんとー」
そんな二人を見ていて、和也はため息を漏らす。 最初は久々の再会に甘々に見えた二人だったのだが、やはりいつもの二人に戻ってしまった事に息を漏らしたのかもしれない。
和也はゆっくりと二人へと近付き、
「腹減ったからさ……飯でも食いに行こうぜ」
「おう! そうだな!」
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